ディアトロフ峠事件:有力説は嘘か真実か?放射能検出で深まる謎!生存者なしで真相は闇の中

ディアトロフ峠事件は、1959年2月2日、ロシアの南北を縦断するウラル山脈北部で発生したミステリーな事件です。強い放射能が検出されたことから、その特異性が現在でも話題になっています。ディアトロフ峠事件について当時のソ連政府が発表した「抗いがたい自然の力によるもの」という見解も、嘘なのか真実なのか…。事件発覚後に生存者がいなかったため、残念ながら真相は今でも不明のままです。

ロシアのミステリー:ディアトロフ峠事件の謎

ウラル科学技術学校の学生男女10名が、ウラル山脈北部でのスノートレッキングを計画。オトルテン山を目的地とし、1959年1月27日、有人集落ヴィジャイから出発しました。メンバーは以下の通りです。

  1. イーゴリ・アレクセーエヴィチ・ディアトロフ
  2. ジナイダ・アレクセーエヴナ・コルモゴロワ
  3. リュドミラ・アレクサンドロヴナ・ドゥビニナ
  4. アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・コレヴァトフ
  5. ルステム・ウラジーミロヴィチ・スロボディン
  6. ユーリー・アレクセーエヴィチ・クリヴォニシチェンコ
  7. ユーリー・ニコラエヴィチ・ドロシェンコ
  8. ニコライ・ウラジーミロヴィチ・チボ=ブリニョーリ
  9. セミョーン・アレクサンドロヴィチ・ゾロタリョフ
  10. ユーリー・エフィモヴィチ・ユーディン

しかし翌日にユーリー・エフィモヴィチ・ユーディンが急病で脱落し、9人となります。これ以降、彼らと遭遇した人物は存在しないとのこと。そのため、ディアトロフ峠事件に至るまでの一行の行動は、現場に残された日記や、カメラに収められていた写真から探るしかなかったようです。

未開の原生林を北西へ向かって進んだ一行は、2月1日、ついにオトルテン山へ続く渓谷に分け入ります。しかし吹雪に見舞われたことで方向を見失い、ホラート・シャフイル山を登り始めてしまうのです。状況を悟った彼らは、理由は不明ですがそのまま山の斜面にテントを設営、何の遮蔽物もないなかで一夜を過ごすことに。

そして日付が変わり2月2日未明、後にディアトロフ峠事件と呼ばれる、何らかの出来事が起こるわけです。2月26日、捜索隊が現場に到着したときには既に生存者はなし、9名全員が遺体となっていました。詳しい状況は次の通りです。

  • テントから近くの森までの間で5人の遺体を発見 ※1
  • 森に入った先にある渓谷で4人の遺体を発見 ※2
  • テントは内側から切り裂かれ、雪に覆われていた
  • 荷物はテントに置き去りだった
  • 片足だけ靴を履いた足跡や、裸足の足跡が森へと続いていた
  • 現場周辺には一行の足跡しかなく、争った形跡もなかった
  • 何人かの衣服から高い線量の放射能が検出された
  • 舌や眼球がなくなっていた遺体があった

※1 死因:低体温症
※2 死因:3名が怪我による致命傷、1名が低体温症

現場の痕跡から見るに、一行はなりふりも構わず、何かから一目散に逃げ出したかのような状況が伺えます。深夜の雪山斜面、暗黒のなかで、一体どんな恐怖が彼らを襲ったのでしょう…。生存者がいなかったため真実・真相を知るすべはありません。有力な説として雪崩が原因であると考えられていますが、それでは放射能や遺体の欠損など説明しづらい部分もあります。


嘘か本当か?オカルト説や軍の兵器実験説

ディアトロフ峠事件については、誰も真実を語れないため、嘘か本当かはともかく様々な説が浮上しています。そのなかでは、UFOに遭遇したという説や、ソ連軍による秘密兵器の実験だったとする説が代表的なようです。

UFO説に関しては、ディアトロフ峠事件のあった夜に別の場所からオレンジ色の発光体が目撃されており、また、遺留品のカメラに収められた写真の最後の1枚にも光体のようなものが映されていたらしく、ある意味興味深いです。

しかしそれは、実はソ連が開発した世界初の大陸間弾道ミサイル「R-7」の光であったことが、後に証明されています。つまり発光体については、軍の秘密兵器だったという説が正解のようです。もちろん、それと9人の死がどう結びつくのかは全くの謎です。

ウラル核惨事から考える、ディアトロフ峠事件の真相

実はディアトロフ峠事件が発生する2年前の1957年9月29日に、ウラル連邦管区マヤーク核技術施設で大規模な爆発事故が起こり、大量の放射能を撒き散らしています。

これは国際原子力事象評価尺度ではレベル6とされ、人類史上で3番目に重大な原子力事故であったとのこと。しかしこの事故は、今でこそウラル核惨事(キシュテム事故)と呼ばれ情報が広まっていますが、当時は極秘とされていたそうです。

ディアトロフ峠事件の現場とマヤーク核技術施設は同じウラル地方であるため、それほど距離が離れていません。ウラル核惨事で広範囲に放射能が拡散したことを鑑みれば、ディアトロフ峠事件との関連性が一切ないとも言い切れないような気がします。

映画『ディアトロフ・インシデント』で描かれた真実


動画:ディアトロフ・インシデント予告編

ディアトロフ峠事件は、映画化もされています。その唯一の作品が、「ディアトロフ・インシデント」です。風化しかけていたディアトロフ峠事件の真相を調査するため、当時の現場へ向かった5人のアメリカ人学生。彼らが体験した恐怖をファウンド・フッテージ式の映像で描きます。

映画としてはホラー寄りのSFとして仕上がっている作品で、最初から最後まで緊張感のある雰囲気を楽しめます。そしてラストには、この映画なりの答えを出しています。

ただし、公式記録にはない11体目の遺体があったなど、映画を面白くするための脚色要素も強いです。ディアトロフ峠事件の真実としての信憑性は低いでしょう。しかし終盤までの展開は、絶対にあり得ないとも言い切れないかも?

美しい映像で描かれる雪山SFホラーとなれば、ホラー好きなら一度は観ておくべき映画でしょう。ディアトロフ峠事件を疑似体験できる、という意味でも興味深い作品です。

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このミステリーの個人的な感想

いろいろ調べてみると、やっぱり雪崩に遭ったというのが一番しっくりくるような気がします。渓谷で亡くなった3名は怪我による致命傷が死因とのことですから、滑落する際に舌や眼球も損壊してしまったのかも。目撃された&写真に収められた発光体は、文字通りソ連軍の極秘新兵器だったのでしょう。

ただし放射能については何とも言えませんね…。ウラル核惨事の事実を隠すために、100kmほど離れたホラート・シャフイル山周辺に何かを廃棄して、たまたま数人がそれに触れてしまったとか?あるいは、ソ連はもともと放射能絡みの事故が多いようですし、ディアトロフ峠事件の現場付近で、まだ公にもなっていない何かがあったとか?

と見せかけておいて、本当にUFOに遭遇したのかもしれません。謎ですね…。

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